このプリアンプは、1950年代に生産されたマッキントッシュC8の回路を2回路、電源部と一緒に1台のアンプに組み込みコンパクトにしたものです。回路的にはイコライザ段からL、Rを合体させて組んでいます。

C8はモノラルですが、当時はステレオ用にもう1台C8Sというよく似たモノラルアンプを用意して、2台を出力端子部で合体させ、バランスとボリュームを操作できるようにしています。この2台を動作させるのにさらに電源ユニットも用意する必要があり場所をとっていました。


1940年代から50年代前半までの古いレコードは、レコード会社が各自のカーブで録音していましたから、RIAAに統一されるまではたくさんのイコライザカーブへ対応させる必要がありました。

そこに登場したのがマッキントッシュのC8やマランツ#1などのコンペンセーター(イコライザ調整機)でした。

現在も古いレコードをお持ちの方はC8やそのステレオシステムを用意されて音楽を楽しんでいらっしゃいます。
ふとC8をステレオで組むと、置き場所も困らず、操作も楽になるのではと考え、このプリアンプの製作を思い立ちました。

アルミ板を切り出し、ケースから作り始めました。
今の時代、C8に使われたオリジナルパーツはまず入手不可能です。現在動いているC8もおそらくコンデンサはリークや容量抜けが発生していたり、抵抗は経年で値が20%から50%増加しているものも多いと思われます。なので現在入手可能な米国製の新しいパーツをメインに使いました。

結構な手間暇をかけてやっと完成できました。できて1週間です。方形波、正弦波を入力して確認しています。

古いRCAのカーブで録音されたLPや現在のRIAAのLPを聴いてみました。カーブの調整機能は正常に動作しています。
音ですがパーツが別物ですからオリジナルのC8とは違う再生音です。

試聴ではいろんなジャンルの曲を聴いてみました。
近代の真空管プリアンプのように超高域迄まで再生可能であるとか、超低歪で情報量たっぷりとはいきません。しかしながら基本的に多種カーブの対応可能な機能を果たし、しっかりと音楽を再生する能力に不足はありません。
 古いものから最近のレコードの音までしっかり美しく再生します。
 もちろんハム・ノイズ・ガリはありません。

言えば世界に1台しかないアンプです。この時代にこんなアンプを作ろうという数寄者はそういないでしょう。このアンプの音に気をよくしてもう1台作ろうとも考えたのですが、パーツの入手難と気力が湧いてきませんので、とりあえずこれ1台で終わりにします。
 アンプのパネルデザインは当初C8にならって金色にしようと考えましたが、塗装が難しく結局マッキントッシュの古いプリアンプのデザインを踏襲しました。少しのらくろ(戦後すぐの古いアニメ)が入りました。


ウッドケース(マランツ#7用)を特注しましたが、製作者のミスで、アンプ本体とウッドケースの底を固定するためのネジの位置が5㎜ズレています。このままケースに入れて固定しなくても問題なく使用できます。腕に自信がおありの方は底板に4か所穴を追加しても結構です。固定用ネジと、ウッドケース下に取り付けるゴム足は付属させます。

 

素人が製作したものです。塗装の剥がれ、製作中に発生した大小のキズやタッチペン跡があります。塗装もうまくありません。ご容赦ください。
外観を気にされる方は入札をお控えください。

現在C8、C8Sをお持ちで、更に予備をお考えの方は、ご検討ください。



仕様と機能
回路:マッキントッシュC8およびC8Sを参照。
機能:コンペンセータ部(ターンオーバー、ロールオフ 1024通りのカーブ対応)
   :ランブルフィルター(低域カット5段切り替え)
   :オーラルコンペンセーター(ラウドネス5段切り替え)
   :トーンコントロール(高低CR型)
   :入力/PHONO1、PHONO2、ライン1、ライン2)
   :残留ノイズ左右ともに0.07mV
   :使用真空管:12AX7(6本)松下製Tマーク
ウッドケース外形:幅450×奥行300×高さ175㍉(突起部含まず)
付属品:各社の録音カーブに対するコンペンセーター設定表、ネジ・ウッドケースゴム足

このアンプ製作のために部品・資材を提供いただいた店舗
・門田無線、桜屋電機、シオヤ無線、トウソク、九州電気、ゼネラルトランス、ネジの西川、カホパーツセンター、ヤフーオークション

悪い評価の多い方、落札後故意にキャンセルを繰り返しているかたは入札を取り消します。

ご質問がありましたら、分かる範囲でお答えいたします。
ご検討をよろしくお願いいたします。






(2023年 2月 8日 16時 42分 追加)
ネットで「ステレオコンペンセーター」という言葉で検索ください。このプリアンプの製作記事が確認できます。
よろしくお願いいたします。


(2023年 2月 11日 11時 09分 追加)
ずっとレコードを聴いています。実働30時間程度になり、音が大分こなれてきました。

コンペンセンター機能ですが、RIAAのレコードを聴きながら、全てのスイッチをランダムに設定しておき、正しいポジションに徐々に近づけていくと、音の鮮度が段々と向上していき、最後はカメラのレンズのピントが合う感じで、くっきりとした音になります。

古いSPレコード、各社独自のイコライザカーブで録音されたレコードをたくさん所有されている方はぜひご検討ください。もちろんRIAAのレコードがメインで、何枚かの旧いレコードをお持ちの方にも有効利用していただけると思います。

使用していて不具合が生じた場合は、部品代、輸送費をご負担いただければ、当方にて修理対応いたします。

よろしくお願いいたします。