本物保証! 桃山時代後期頃の鼡志野茶碗です。
書付によりますと本碗は志野焼を主に出土する美濃の古窯“高根西窯”(岐阜県土岐市)にて焼かれた一碗で、直径およそ13.4cm、高さ10.5cmと実に堂々たる作振りを示しています。
形は半筒形で、総体肉厚の器は手に取るとずっしりとした重みがあり、腰できりりと立ち上がって胴に横箆を巡らせ、口辺で一度締めてやや内に抱える豪快な造形感覚はむしろ後出の織部茶碗や瀬戸黒茶碗に通じるものを感じさせます。
古田織部の美意識を取り入れた豪放大胆な姿ながらも、落ち着きと高い品格を保った器の中で作り手の意志と時代の要望に応じる卓越した造形力が光っています。
素地の上に鉄分を多く含む鬼板を施して鉄化粧を行い、そこへ長石釉を掛けて焼成することで器胎は鼠色を呈し、分厚く溜まった白釉や、ふつふつと生じた無数の孔から覗く鉄錆色、また鬼板の薄い部分には柔らかな桃色が現れるなど鼠志野ならではの変化に富んだ景色が創出されています。
口縁や胴、高台の周囲には大きな石が噴き出て一点の景を添えるほか、三角に掛け外した底では鼠色と桃色を呈する白釉が薄雲のように周辺を覆い、また内底には大きな貫入が現れて静かな表情を見せており、まさにどの角度からの鑑賞にも堪え得る見所多き優碗に思わず時間を忘れて酔いしれます。
破格の美を備えた、別格の価値を有する桃山茶陶をどうぞお手元にてご堪能下さい。
茶人書付箱入り。(染みやヤケあり。また箱側面に旧蔵札が貼付されておりますが、印が消されており前蔵者の詳細は不明です。)
是非この機会をお見逃しなく!
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