先奥州金 志波城 蝦夷(エミシ) 岩手県盛岡市
“日本最古の貨幣”無文金銭および無文銀銭は豪族など有力者によって鋳造され、『日本書紀』天武天皇12年(西暦683年)に銅銭(富本銭)の使用が発布されて金銭や銀銭の使用が禁止されるまで貨幣として流通していました。この年は貨幣鋳造が国家(大和政権)に帰属した記念すべき年です。国家より先に豪族が貨幣を鋳造していた点も面白いと思います。東北・北陸の無文銭の特徴は同じ地域で金銭と銀銭が混在していることです。征夷大将軍に任ぜられた坂上田村麻呂によって征伐されるまで蝦夷(エミシ)と呼ばれた原住民によって使用されていたと考えられます。平安後期の戦乱(前九年・後三年の役)に勝って北奥羽を統一した清原氏の古奥州銭より更に古く、先奥州銭と呼ばれています。
今回は委託品です。当時の買い値が紙ケースに記載されていますが、早期の換金のため大幅に値下げしての出品に同意していただきました。城柵周辺の淫祠跡で出土したそうです。城柵は大和政権の東北進出の拠点でした。軍事的な橋頭保と行政機関の両面を備えていました。淫祠は神道成立以前、仏教伝来以前の神々や精霊をまつった宗教施設を意味します。詳しい方のお話では、表の打点や短線の散らし方で発行地域が特定されるそうです。裏はまったくの無文です。汚れや細かい傷があります。撮影の際の光の量によって実物と違った色に写ることがあります。これまで一度も鑑定に出したことがなく、正真正銘の真贋不明ですが、トラブル防止のためあえてレプリカとして出品させていただきます。高騰防止のために即決価格をご用意しました。自己紹介欄にオークション休業日を記載させていただいております。お手数とは存じますが、ご入札前にお読みいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。