加治木島津家旧藏品 薩摩鐔 竹虎図 保存刀装具 江戸時代〔検索:島津・薩摩・鐔・鍔・目貫・縁頭・日本刀・刀・太刀・脇差・槍・甲冑・兜〕
【所 見】
- 題 材:竹虎図鐔
- 銘 文:無銘 伝薩摩
- 内 容:堅丸形、鉄地、鋤出高彫、地透、角耳小肉
- 鑑 定:日本美術刀剣保存協会 保存刀装具 第4018041号
令和三年一月十五日
- 時 代:江戸時代
- 縦 長:約七・一四糎(センチメートル)有之
- 横 長:約六・七二糎有之
- 厚 み:約〇・二七糎有之(高彫部:約〇・六五糎有之)
- 由 緒:加治木島津家伝来 薩摩拵 島津義秀氏ヨリ購入 鹿児島縣第8563号 日刀保 昭和38年12月14日交付 伝浅古当麻(銘不明)調所(印)
【特 徴】
これはとんでもない名品が出て参りました。薩摩国鹿児島藩島津家の一門家として大隅加治木を領し明治維新後には華族の男爵家に列せられた加治木島津家の旧藏品「竹虎図鐔(保存刀装具 第4018041号)」のご紹介です。
薩摩鐔の多くは小振りな姿形となっているがこれには薩摩藩の御流儀と称される東郷示現流が大きく影響していると云われている。東郷示現流の特徴は先ず機先を制するという点にあり敵の武具諸共叩き斬るといった他流に類をみない果敢な剣法である。そのため東郷示現流には返し業という概念が無く敵刃を防ぐための鐔等は一切不要ということで同派を修めた薩摩藩士は好んで小鐔を用いた。薩摩鐔には上下に並ぶ小孔が開けられた遺作が散見される。これは細紐を通して鞘の栗型に結びつけるための孔である。流祖より「刀は抜くものにあらず、針金をもって鞘に結びつけよ。止むを得ず抜いた場合には、一刀のもとに敵を倒すべし」の教えから東郷示現流の門弟等は小孔を開けた鐔を好んで用いた。鐔の材質としては鉄地が最も多く他に赤銅・四分一・金無垢のものもある。薩摩金工界の二大流派には「小田派」と「知識派」が有りまた薩摩国鹿児島藩島津宗家(以下「薩摩島津宗家」と言う)では石黒政美や斎藤富随の様な江戸金工も召し抱えていた。本作は雪の降り積もった竹林に虎という大変風情のある意匠である。表面は姿勢を低くし周囲を窺う野性味のある雄虎の姿裏面は雪を乗せた竹の葉と戯れる猫のような愛らしい雌虎の構図である。表裏共に笹竹を鋤出高彫で大胆に表現しており実に薩摩風で斬新な構図である。簡潔で力強い造形周囲を浅く鋤いて鋤き出された笹竹には葉脈と節がくっきりと彫り出されている。程良く艶のある地鉄は図像の際で肉を落とし引き締まった中にも丸みを帯び柔らかな光を放つ。竹と虎の組み合わせは古来より薩摩金工の好画題であり後藤家に学んだ薩摩金工の小田派等が得意とした。中でも小田直香系は特に島津宗家及びその庶流に珍重され多くの藩主・分家筋当主の佩刀を飾っている。薩摩島津宗家及びその一門家・庶流が佩用した薩摩拵には本作の如き高品質の薩摩鐔が多く見られるがそれらと比してもここまで精巧且つ緻密に作り込まれた薩摩鐔は珍しい。元来は加治木島津家伝来の浅古当麻御太刀(画像参照)の薩摩拵を飾っている薩摩鐔であり「加治木島津家伝来 薩摩拵 島津義秀氏ヨリ購入 鹿児島縣第8563号 日刀保 昭和38年12月14日交付 伝浅古当麻(銘不明)調所(印)」の調所一郎氏真筆の覚書にある通り加治木島津家旧藏品であることを確かに保証する(※画像にある覚書の原本はお譲り出来ませんのでコピーを附帯させて頂きます)。令和三年一月十五日に日本美術刀剣保存協会より「保存刀装具(第4018041号)」として認定されており本作に一層の華が添えられている。元々は「里文出版 薩摩拵〜さつまこしらえ〜」著者の著名な薩摩刀装具蒐集家・調所一郎氏のコレクションの一部であり出自も信頼性が高く実に素晴らしい。薩摩鐔の蒐集家に是非ともお譲りしたい。※加治木島津家伝来の浅古当麻御太刀は出品に含まれません。原則として貴重な文化財として手入れ・保存が出来る御方ルールを守れる御方のみご参加下さい。評価の低い方・新規入札の方は必ず質問欄より購入のご意思をお示し下さい。ノークレーム・ノーリターンとさせて頂きます。