内容は言わずもがな。
ラインナップは興味深い名手揃い、Larry Carlton(G)、Robben Ford(G、Vo)、Toss Panos(Ds、かのBrand XのJohn GoodsallとのFire Marchants、Michael Landau trio他) 、Jeff Babko(Key、Simon Philips及びToto周辺)、
Travis Carlton(B)となります。
2006年9月4~7日”Blue Note Tokyo”での実況録音からの抜粋となりますが、9月5日の2nd公演が中心になっている模様でございます。
そもそも「名手共演シリーズ」の始まりはこちら。
「(Steely Danの大傑作)”Royal Scam”が俺の人生を変えた」と宣う名手Steve Lukather(”Kid Charlemagne”での名手Larry Carltonの秀悦な演奏を聴いて、でしょうか?)。
Toto結成前はLarry Carlton周辺に名を連ねた無名ミュージシャンの一人でございましたが、その後のTotoやセッション界隈等での活躍・名声はよく知られる事実。
大きな名声を既に得、更に大ベテランの域になり(今ではステージ上で「時差ぼけの上に物覚えが悪くなってね~もう六十も超えてるし~」と、ぼやく始末)、Totoや自身のソロとしての活動もインターバルが長くなり、
お遊びプロジェクトとして嘗ての自身の英雄との共演に乗り出した感がございます。
そもそもライヴ盤制作は当時予定していなかった模様でございますが、ラジオ放送向け録音が企画されておりまたライヴの大好評も加え、ライヴ盤制作を決断(かの名手Steve Vaiのレーベルからのリリースがミソ)。
そのライヴ盤”No Substitutions:Live in Osaka”。リリースすれば大きな話題と大好評を呼び、何と!グラミー賞受賞と相成ります。
Larry Carltonはこの名手共演企画を後に自身のレーベル設立に絡み制作含め継続化(後に再びグラミー賞受賞に輝く事になりますが.......)。このLarry Carlton & Steve Lukatherの共演企画が原点という感がございます。
さて自身のレーベル設立後の名手共演ライヴ・シリーズである今作。
同じジャズ/フュージョン界隈で同じ名手として知られるRobben Fordをパートナーに起用した作品でございます。
鍵は”Blues”でございます。 されど、名手二名の積み重ねた音楽キャリアを生かす、そして”Blues”とは言え応用・発展・洗練系である事が大きなミソでございます。
Tom Scott & The L.A.Express、Yellowjackets等々の活動でジャズ/フュージョン系名手として知られたRobben Fordでございますが、そもそもは”Blues”系ミュージシャン(極初期の録音からも伺えますが..........)。
Larry Carltonも基礎に”Blues”という要素を持ち合わせておりますが、両者共にその”Blues”の枠に収まり切れない才能と技術の持ち主。
Larry Carltonは”Renegade Gentleman”という秀悦なBlues作を制作。Robben Fordは”Blues”色濃いソロ作品を継続して制作し続けており、
そもそも七十年代中期にLarry Carlton/Robben Ford/Greg Mathieson/Robert Popwell/Jeff Porcaroという驚きのラインナップで活動していた事があり、、そこから共演が持ち上がった感がございます。
”Blues”系とは言えど非常に洗練されており、何せその枠内に収まり切れない才能と巧みな演奏力の名手二名。そして、個性派名手揃いのバックバンド。
”Blues”系楽曲であってもダレる要素は一切ないもので非常にタイトな演奏・アンサンブルは見事なもの。また個性派名手揃いという事もあり、それぞれの個性を強く生かした感(特にToss Panos。ハイハット演奏にも注目)。
ソロ演奏等々含め非常に生き生きとしており、非常な聴きものとなっております。
またLarry Carlton/Robben Fordのコンビネーションは驚く程正確で息の合ったもの。
過去の似た時期にセッション活動の全盛期を迎えていた事があるのでしょうか?演奏個性の協調と競合、棲み分けのバランスが非常に巧みでございます。
Robben Fordに配慮した選曲の感がございますが、Robben Fordが後にソロと並行して活動する”Jing Chi”や”Renegade Creation”のロック色が強く感じられるもの。
またラインナップの個性が絡む感がございます(特にToss Panosの存在)。
過去作とは言えRobben Fordのヴォーカル曲が二曲のみ(ボーナストラック含む)でございますが披露されております。
かのグラミー賞受賞作”No Substitutions:Live in Osaka”がライヴ盤と言えどオーヴァーダビングなしで非常に生々しい感覚の音造りとなっていた事もあり、それを踏襲した感がございます。
(されど、中々の高音質でございます。録音時は既にハードディスク録音の時代。またその初期には音質・技術の問題がございましたが、かなり解消されてきた時期でございます)
かの”No Substitutions:Live in Osaka”録音となるツアーでSteve Lukatherのギターで演奏する事があったLarry Carlton(Steve LukatherもLarry Carltonの”335”で演奏する事も...........................)。
Steve Lukatherからアドバイスを受けて機材を変更した事があり、その成果が聴かれるものでもございます............................................
今作日本盤のみのボーナストラックが一曲収められております............................................Robben Fordがヴォーカルを務めるBlues系楽曲でございますが、単なるBluesで終わる筈のない音楽性とラインナップがミソでございます。
Larry CarltonとRobben Fordの非常に息の合ったソロ棲み分け演奏が聴きものでございます.........................................
ボーナストラック扱いが非常にもったいない録音という感がございます...........................................................
現在では入手が困難の模様。この機会に是非。
注:発送方法は変更になる場合がございます。宜しく御願い致します。