「アコースティック・パンクの女王」Ani Difrancoが、'96年に発表した傑作8thで、RIGHTEOUS BABEというインディーズ・レーベルでの流通ながらアメリカで50万枚も売った出世作でもあります。
Aniは、デビュー以来様々な演奏形態で音楽を表現してきました。例えば、元々はアコースティック・ギターの弾き語り（'98年の来日時、山崎まさよしと共演あり）で、パーカッションを強化したり、バンドをバックに録音したり。
しかし、Aniの強靭なVo.と信念の塊のような歌詞は、常に不変です。
本作では、Ani（歌とアコースティック・ギター、そしてベース、曲によりオルガン等）と、Andy Stochansky（ドラム）の2人が中心で、①でDavid Travers-Smith（トランペット）と④Michael Ramos（ハモンド・オルガン）がゲスト参加。
全曲良いのですが、特に素晴らしいのが①。彼女にしては珍しく静かな曲調です。しかし、彼女が静かに「fuck you」と囁く時、そこには、ただ喧しく喚くハード・コア系とは明らかに違う、秘めた“怒り”“激情”がジワジワと滲み出ていて、鳥肌が立ちます。
その他、②以降も彼女らしい、噛み付くようなVo.が非常に格好良いです。
現在も新作を出し続けている彼女ですが、楽曲の質と緊張感では彼女の作品中最強のアルバムだと思います。

Ani DiFranco/Dilate