インドネシア・パプア州アスマットの大型石器(B)
インドネシア・パプア州アスマットの大型石器(B)
インドネシア最東端のパプア(旧イリアンジャヤ)州の南西部に位置するアスマット(Asmat)地方は、世界的に有名な原始美術(Primitive Arts)の宝庫です。1930年代に欧米の宣教団が布教活動をスタートさせる以前は、まさに“石器時代”の真っ只中にありました。一方、北海道ほどの広大な湿原地帯から成るアスマット地方には、小さな石ころ一つ落ちていない、いわゆる『石のない世界』です。泥と土そして深いジャングルが支配する、厳しい自然環境。そのため、道具として、そして結納品として欠くことのできない石器は、遥か中央高地の部族との交易で手に入れてきました。また、豪雨によってなぎ倒され、上流から流れてきた倒木の根の部分に付着している石の中から、石器に適したものを探したとの報告もあります。アスマトでは、まさに石こそがダイヤモンドだったのです。
画像の石器は、1970年代にアスマット地区のカスアリネン海岸の村で入手したものです。主に、主食のサゴ椰子の伐採や、戦闘楯の材料となる板根の加工などに使用していたものです。サイズは、鉄木(アイロンウッド)製の柄の長さが約75.5cm、直径はおおよそ2.5~4cm。石器の先端部から、取り付け部の後ろまでの横幅が約16.5cm。取り付け部の木の最大厚みは約5.5cm。石器自体のサイズは、長さが約13cm、最大横幅が約6cm、最大厚みが約3.8cmで、重さはおよそ454グラム。石器部分は取り外し可能です。全体の重さは約1.01kg。柄の手元にはアスマット民族が神聖な鳥と懐くサイチョウ(犀鳥=年輪鳥)が彫刻されています。ビス・ポール(祖霊像)など、アスマット・アートを生み出す最初の道具となった石器は、今では完璧に過去のものとなり、その意味でもクロノジカルな価値があります。送料はこちらで負担致します。
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